みなさんこんにちは、税理士の古見です。
東京の文京区で税理士事務所を開業しております。
今日は消費税の課税要件について、です。課税要件というのは要するに一定の条件が整うとある種の税金が課税される、ということです。
今回なぜこのお話をするかと申しますと昨日のお話と少し連携しているからです。
では、お話していきますね。
消費税法では課税要件について
①国内において
②事業者が事業として
③対価を得て行う
④資産の譲渡・貸付、役務の提供
については消費税を課する、と第4条において謳っております。この4つの要件をすべて満たしてはじめて消費税が課税されると言っているのです。これは課税4要件とも言いまして消費税法の根幹をなす概念です。消費税はこの課税4要件さえ頭にビシッと入っていればもう大丈夫、というくらいのものです。私も税理士試験の受験生時代から今日に至るまで消費税の取り扱いに悩む事案が出てきたときはまずこの課税4要件を確認してから判断することにしています。
この短い言葉の中には実は非常にエッセンスが詰まっておりまして、税法条文の解釈の面白さがふんだんに盛り込まれております。
税法を実社会の様々な取引に当てはめていくときにはもちろん正しい条文の解釈が必要になるのですが、例えば①の国内においてという言葉からすると「日本国内で商品を売る」という取引であれば誰しも、「うん、この取引には消費税が課税されるよな」というのが条文からも判断できますが判断に迷うような取引も数多く日常的に行われているわけです。そうすると国内においてと条文で謳ってはいますが、「国内において」というのは何が国内でなければいけないのか、ということが重要になってきます。実物資産を売買する場合は品物が国内にあるかどうかで判断すればよさそうですが、役務つまりサービスの提供の場合はどうなのか、例えば国内の会社から依頼を受けて海外の不動産広告を海外の顧客向けに打った場合ははどう判断するのか、などという問題が出てきます。こうした一つ一つの取引についてそれぞれ条文で手当てをしていくというのは非現実的ですので条文を当てはめることができないような取引についていかに条文を正しく解釈するかというのが非常に重要になってくるのです。。。
ん、話が脱線してしまい、元に戻れなくなってしまいました。条文の解釈については話し出したら止まらないくらい非常に面白い分野ですので、このくらいにしておきます。
昨日のお話とどう連携しているかと申しますと、②の事業者が事業としてという部分を見ていくと明らかになります。自宅を売却する時の税金の一覧に消費税がなかったと思います。自宅を売却するという行為は④の資産の譲渡に該当しますし、①も③も満たしますから一見するとあれ消費税が課税されるのかなと思います。がそうではありません。自宅を売却する行為は事業者が事業として行うものではないからです。売却益が出たとしてもそれは「たまたま」ですからね。なお、「事業として」という部分についても解釈論が色々あって面白い部分ではありますが、これも長くなりそうなのでここでは省略させてくださいね。
自宅を売却するという行為は課税4要件のうち②の要件を満たさないから消費税が課税されないということになります。
消費税ってこのように考えると面白いですよ。